星空スペース

これから生活に関係する公共的費用は上がり続ける、かもしれないけど、あなたはどうする?

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こんにちは、星空スペース店長です。

大学卒業後、私はとあるコンサルティングファーム(コンサル業界はカッコつけて会社のことを「ファーム」と呼びます)に就職し日夜数字とにらめっこする日々を送っていたものですから、自然とさまざまなデータと向き合うのが好きになってしまいました。

今でも、暇さえあればいろいろな統計データや資料をネットで探し出しては読むのが趣味になってしまっています(苦笑)。

 

さて、今日はそんなデータを交えてのちょっと暗めの話。
でも、田舎への移住と暮らしを考える上でとても大切な話です。

 

ちょっと前に、まとまったごみの量があったもので、いすみ市内にあるごみ処理場に車で直接ごみを持ち込んだことがあったのです。

そして、いつもと同じようにごみ代金を払おうとすると、なぜかいつもよりも金額が多い。

「あれ?そんなにたくさんごみを持ってきたっけ?」と一瞬戸惑うほどに、ごみの代金が高かったのです。

 

そして、気になって調べてみたところ、やっぱりいすみ市のごみ処理センターの手数料が2016年10月からあがっていたのです。それも約7倍も!

以前は1kgあたり3円の処理代が、今では1kgあたり20円も取られることになってしまいました。

例えばの話。

あなたが朝いつものようにコンビニに行き、ガムをひとつ買おうとしてレジに差出し100円玉を取り出そうとしたときに、
「700円です」
とレジのお姉さんににこやかに言われたら、あなたはどんな表情をするでしょうか?

ガムならまだ我慢しようと思えるかもしれません。

しかし、今回のごみ処理費用のように生活にかかわる費用は我慢するわけにはいきません。(我慢すればごみ屋敷になってしまいこれはこれで地域の迷惑ですし)

生活にかかわる財やサービスの価格の上昇というのは、それだけ負のインパクトを私たちの生活に影響させます。

しかも、いすみ市の場合、これだけではないんです。

まず、市内路線バス。

これが2015年10月より

生徒100円→200円 おとな 200円→400円

2倍に増えました

また、いすみ市にはデマンド交通という予約型乗り合いタクシーのような制度があるんですが、

これも300円→400円と増えました。これ片道価格なので

実質は600円→800円の増加で、1.33倍増しです。クルマを乗らない人にとっては、生活にかかわる重要な費用です。

さらに、いすみ市にある公共施設について、これも2015年10月よりすべての公共施設の使用料が高くなりました。あるいは、無料だったところが有料になりました

このように、いすみ市で私たちが暮らす上でかかる公共的な費用は、少しずつですが、確実に高くなってきています

なぜか。

なぜなのか、それをよく考えることが本当に大事な時代になってきています。

 

「田舎暮らし」「地域活性化」等のテーマで、人前で話す機会がたまにあるんですが、私が必ず伝えているのが、これからは自治体戦国時代になるということです。

“戦国”とは生き残りを賭けた戦いという意味です。

そして、わたしたち市民にとっては、「どこに住むか?」ということが、今まで以上に生き続けていく意味で重要になります。

 

「何を大げさな!」そう言われる向きに対して、非常に説得力を持つのが水道料金の全国比較なんで、私はことあるごとに図にして皆さんに見てもらっています。

水道・ガス・電気は公共料金の3大要素ですが、このうち水道料金だけは、各自治体の水道局が決めることができるようになっています(東京23区など例外的な自治体もあります)。

そして、この水道料金、地域によってめっちゃくちゃ価格差があるんです。

生活ガイド.comというサイトで、日本全国の自治体の水道料金がランキング形式でみることができますので、ご自身の住んでいる自治体や気になる自治体の水道料金をぜひ調べてみてください。

ざっとわかりやすいところで抜き出してみましょう。比較は20mm口径で20立方メートル利用したときの水道料金です。まあ、普通に2人家族で毎日風呂や炊事をしていたら、普通にかかる料金です。

兵庫県赤穂市 961円
静岡県三島市 1,600円
東京都23区 2,764円
千葉県成田市 3,262円
千葉県いすみ市 3,974円
千葉県勝浦市 5,365円
北海道夕張市 6,852円

どうでしょうか?

これ毎月ですからね。

赤穂市にすむのと、夕張市に住むのとでは、もはや生活難易度のレベルがぜんぜん違うのがわかると思います。いすみ市も全国的にみればかなり高めですし、お隣の勝浦市にいたっては関東圏における最高クラスです。

例えば、勝浦市に上記の水道使用例で一年住んだとすると、

5,365円 × 12ヶ月 = 64,380円

これを10年続けると、643,800円になります。

これが兵庫県赤穂市であれば、

961円 × 12ヶ月 × 10年 = 115,320円

勝浦市に10年住むのと、赤穂市に10年住むのとでは、単純比較ですが

643,800円 - 115,320円 で約52万円もの差がつくのです。

macbookが余裕で買えますし、中古車ならわりと良いのが手に入るでしょう。

 

そう、住む自治体によって可処分所得が大きく変わってくる。

これが自治体戦国時代の重要な特徴のひとつです。

それを知らずに、移住し、後から驚いても後の祭り。

何しろ生活にかかわる費用ですから、切るに切れません。

 

このように、移住するにしてもその自治体の財政状況や公共サービスの価格帯などを調べることも重要なのです。

これは極端な例ですが、北海道の夕張市の燃えるゴミすら燃やせなくなった負のループの事例を、ぜひ皆さん知っておいてほしいです。

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ハフィントンポスト おときた駿氏の記事『「燃えるゴミ」が燃やせない町・夕張に、暗い日本の未来をみた』

 

最盛期には人口11万人いた人口が、たった半世紀ほどで8,000人にまで減った夕張市。

財政破綻→公共サービス劣悪化→人口減→財政悪化の無限ループ。

しかし、けっしてこれは夕張市だけの問題ではないんです。

データを見れば、いくつかの例外をのぞき日本全国ありとあらゆる田舎サイド(もちろん千葉県もです!)で、夕張市と同じようなことがいつ起こらないとも限らない状況にあるのです。あるいは、ゆっくりと、こっそりとそういう状況になりつつあるともいえるかもしれません。

 

ちょっと話が大きくなってしまいましたが、ではなぜ私はいすみ市という田舎サイドに住むことを決めたか、というといすみ市には未来があるとも思っているからなんですね。

それは、また別の要因からなんですが。

この話をしだすとまた長くなってしまうので、また別の機会にしたいと思います。

 

とにかく、今日の話で皆さんに知っておいてもらいたいのが、自治体の公共的なサービスの料金や価格を調べようということです。それがけっこう大事なことにつながっているし、私たちが生きていくために注意し続ける必要がある指標だということです。

(良)