星空スペース

In the right place, at the right time これからの時代をつくる若者達に伝えなくてはならないこと

こんにちは、星空スペース店長です。

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季節はめぐり、もう梅の実が取れるころになりました。

忙しいのです、圧倒的に忙しいです。梅をどんどんつけていかなくてはなりません。

ナノハナもタケノコも、ソラマメもウメもみーんな、旬があって、その期間内に仕込みをこなさないと間に合わなくなるんです。

食文化って季節のサイクルをいかにうまく利用するかだよなあとホント思います。

 

さて、桜の花が咲くか散るころでしたか、星空の家に未来ある若者達がやってきたことの話をしないとと思って、また時が過ぎてしまいました。もう6月だよ、こんちきしょ~。

星空スペース・星空の小さな図書館の常連さんで、わたし達も日頃大変お世話になっているのが、長南・大多喜・茂原でグループホーム・デイサービスといった介護事業を営んでいる社会福祉法人信和会の皆様です。星空の小さな図書館から出張で星空文庫も、信和会さんの運営する寺子屋ジャンプにおかせてもらっています

そんな信和会さんのところに今年度新入社員として入った6名の方を相手に、新人研修の一環として星空の家にきていろいろ話をさせてもらったのでした。

当然ながら、皆さん20代前半ということで、若い、圧倒的に若いのです。若さがまぶしい(笑)!

 

信和会の事務局長さんから研修のお話を頂いてから、何を話そうか、何を話すべきなのか、ずっと考えてきました。

わたし達も考えてみれば歳をとったもので、一回り以上も離れた平成生まれの若者達が、地域の企業に就職してこれから社会人生活をはじめるというときに、さあ何を語ったものかと。

これがけっこう難題でした。

いや、もちろん話したいことなんか山のようにあるんですが、時間は有限ですし、僕らもまだ昔話を長くしたがるほど歳は食っていないつもりです(笑)。

 

思考をめぐらせていたときに、僕の頭に思い浮かんだのが、

「In the right place, at the right time(正しいときに、正しい場所にいる)」

という言葉でした。

 

僕が始めてこの言葉を知ったのは、梅田望夫さんの本「ウェブ時代をゆく いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)」の中ででした。

グーグルやアップルといった世界的IT企業の雄たちが本拠地とするアメリカ合衆国の西海岸。

世界中の若い英才が集まるこの地で語られる魔法の言葉が

「In the right place, at the right time?(正しいときに、正しい場所にいるか?)」

だということなのです。

 

自分が今のタイミングで、いまいるべき場所にいるか、それが決定的に重要な意味を持つ時代になる、僕も今でこそそのことを確信しています。

そして、きっとこれからの時代、それがますます重要な時代になるだろうということも。

 

だからこそ、これからの時代をつくっていかなきゃならない若者達にそのことをちょっとでも伝えられたらと思っていろいろな話をしたのでした。

 

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大まかに言って、今の30代の人たちは、時代とパラダイムを「壊す」役割を持っていて、

今の20代以下の人たちはその後をついで時代を「創っていく」役割を担うんじゃないかと僕は思っています。

 

20世紀という時代(日本では明治・大正・昭和)は、「資本主義」という経済の器と、「ナショナリズム」という国家の器、これを世界中の人たちが大競争して作り上げていく時代で、しかもそれが超巨大な歴史的ベクトルとして人々の心を支配する時代でもありました。

しかし、その2つの器も亀裂が目立ち、水漏れがひどくなっています。器が自壊するのを待つか、それとも新しい器をつくるか、その選択のときがきているんです。

僕はコンサルティング会社に所属し、日本の大企業の裏側をいくつも見てきましたし、一方で日本の過疎化の深刻な地域も見てきたので、実は日本は一回どこかでカタストロフィー・ポイント(すべてがドミノ倒しのように連続的に崩壊していくポイント)を迎えるだろうなあという、ある意味「諦め」に近い実感を持っています。

地方創世だ、これからは地域の時代だと言われていても、千葉もそうですがいわゆる大都市近郊の田舎サイドの経済は東京などの大都市圏に完全に依存してますし、地方交付税頼みの行政も「日本」という国家システムが成り立たないととてもじゃないですが立ち行きません。

しかし、その東京大都市か、日本という国家、あるいはその両方が、破滅的に立ち行かなくなる、そういう時代が遅かれ早かれ必ず来ます。そこはもう99.99%くらい必ず。マクロの指標や、統計データを見れば、今すぐにそれが起こってしまっても不思議ではないくらいです。

ただし、ここでもっとも注意しなくてはならないのが、東京がなくなろうが、国家が滅びようが、わたし達は生活をして生き延びていかなくてはならないことです。

逆にいうと、東京がゴジラに襲われて壊滅しても、日本という国が財政破綻しても、わたし達はすぐに死ぬわけではないし、生き残りを賭けてそこから本当の勝負が始まるとも言えるわけです。

実際、国家財政が破綻したギリシャも、戦争で国中が滅茶苦茶になったベトナムやカンボジアなんかも、国の中で生きている人たちは今もわりと元気でたくましく暮らしているようですしね。

 

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さてさて、話が大きくなりすぎてしまいましたが、ではなぜいすみ市というこの小さな町なのかという話で。

 

最初のほうに戻って欲しいんですが、僕はいまのいすみにいることが

In the right place, at the right time(正しいときに、正しい場所にいる)

だと思っていて、しかもそれをもっともっと周りの人たちにもすすめていかなくてはと思っています。

 

重要なのは、「できることの多さ・豊富さ」と「コンパクトで手ごろな規模感」です。

 

人口4万人を切り、さらに今後も絶賛人口減りまくり中のいすみ市(および近隣地域)は、逆に言うと若者にはたくさんのチャンスを提供できる場所になれる大きな素質と可能性を持っています。さらにいすみはそれを許容する懐の大きさも持っている地域です。

実際、本当に何にもないところからスタートだったわたし達も、古民家シェアハウス星空の家をはじめ、星空の小さな図書館をはじめ、カフェ&シェアオフィスの星空スペースもはじめることができました。まず、わたしたちが論より証拠。

わたしたちの親しい人たちも多くのチャレンジをしており、しかもそれが一定程度の成功を生み、さらに人を呼ぶ構図にもなってきています。

東京や横浜にも近く、しかも近隣自治体もあわせれば十万人くらいのほどよい経済圏を確立できるいすみ地域は、変わろうと思えば変われるし、変えようと思えば変えられる、そんな地域なのです。

だからこそ、まずは自分から変わらないといけません

ここが決定的に重要です。研修に来た新人のみなさんに、そのことをどうにか伝えたかった。伝わったかなあ・・・。

 

今までの時代は、ある意味「人に言われて変わればよかった」時代でした。

正解とするイメージがたくさんあり、それにあわせて自分を変えればよかった。

しかし、これからの時代には正解のイメージがまだはっきりとはありません。

たぶん、これからもないと思います。

それよりも、旧態依然とした古ぼけた成功イメージがまだまだ残っており、それにあわせてみんな自分を変えようとするからぼろぼろに疲弊し、精神を病んだり、他の人をいたずらに傷つけたりするのです。

だからこそ、一度その人間をぼろぼろにするイメージと仕組みを壊さないといけない。それがたぶん僕らの世代の役割です。まあ壊すといっても壊し方にもいろいろあるわけですが。なんとか、新しいものが生まれはじめる程度に壊さなくてはいけないと思うのです。

そして、ある程度ガラガラポンしてクリーンアップされた後に、新しいものを生み出すのはやはり次代を担う若者達に任せなくてはなりません。

そこで何が生み出されるかはまだわからないけども、少なくとも自分達が考えて、自分達で動いて作りだしたものが、自分にとっての

In the right place, at the right time

になることは間違いないはず。

 

だから、いま企業に勤めだす新人の皆様には、時代の風を感じつつ、積極的に地域とのかかわりを持って欲しいと願っています。

信和会に就職した皆さんにも伝えましたが、まずは仕事を覚えるのに必死でしょうけど、できれば自分の周りで起きている出来事に関心を持ち、しかも自分から積極的に動いてみてもらいたいものです。

自分を変えると、周りが変わる。

そのことに気づきだすと、自分の仕事が社会とつながっているのが感じられて、仕事もきっと楽しくなるし、仕事以外の人との付き合いも加わってたくさんの気づきとつながりを得られるようになるはずです。

まあ、とにかく、若い皆さんにがんばってもらいたいし、僕らもそういう若者が活躍できるような場作りをこれからも一生懸命がんばりたいと思ったのでした。

(良)