星空スペース

とさちょうものがたりZINEを読んで。Howが語れることに人間としての豊かさが集まっていく


毎度どーも、星空スペース店長です。

ブラウンズフィールドの慈慈の邸の女将舞宙音さんより、このすばらしい冊子をいただいたのでご紹介しておきましょう。

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年末の忙しい日々をすごしている中で、ふとこの本を読んでいて、僕の心は外に干してあった布団を取り込むときのように、とっても温かくなりました。

表紙を飾っているのは、渡貫家の皆さん。

奥さんの子嶺麻さんは、ブラウンズフィールドのデコさんの娘さんで、だんなさんの洋介さんと昔、ブラウンズフィールドで暮らしていて、そのときからご縁がつながっています。

子供たちがだいぶ増えてにぎやかになった渡貫家の皆さんは、今、高知県の土佐町というところで暮らしていて、「むかし暮らしの宿 笹いえ」という宿を営んでいます。

その様子がこの「とさちょうものがたり」というサイトでブログ形式で紹介されていて、その記事を集めたのがこちらの「とさちょうものがたりZINE03号」として発刊されたようです。

別に大都市東京や大阪に限らず、ここいすみ市でもいわゆる一般的暮らしをしている人からしてみても、綿貫家の人たちが普段やっている生活の様式が、あんまりにもレトロでびっくりすることも多くあると思う。

煮炊きもお風呂も薪だし、トイレもコンポストで自分たちで処理する。いや、こんなこと100年前まで「普通」だったのに、普通ではなくなったのはいつからなんでしょうね。

とにかく、「昔暮らし」の看板に偽りなし!

というレベルで、生活のものごとひとつひとつが、何がしかの手間しごとで構成され、「面倒くさい」「古臭い」と思われるようなことであふれている。

でも、僕はそんな暮らしぶりにすばらしいと感動してしまうし、こどもたちもえらく良い体験をしていると思ってしまう。

 

ボタンひとつ、スイッチひとつでできてしまうことに、なぜそんな価値があるかといえば、きっとそこにたくさんのHOWがあるからなんだろうなと最近思うんです。

そして、人はHOWを語り合うのが大好きなんですよね。

だからこれからの時代、HOWを語れる引き出しの多い人間ほど魅力的に思えるんじゃないかなあと。

洋介さんの文章の中で何気なく出てくるHOWが面白いんです。

たとえば、「薪」の章にこんな文章が出てくる。

湿っていたりなど薪の状態が悪いと、調理に時間が掛かってしまう。そのイライラは食事の味や品数にも影響しかねない。

薪管理者(僕のことです)が、料理人(奥さんのことですね)の機嫌を損ねては円満な薪生活に支障が出てしまう。

 

ね、薪のことなんだけど、実は夫婦円満のHOWの話になっていたり、洋介さんのHOWの視点が本当に面白いんです。

 

ボタンひとつで、お湯が沸く。いまはあまりにも当たり前のことだけど。

でも、それを薪でやろうと思ったら、これがまた実に大変なんです。

僕もイベントでも日常でもよく火をつけるんですが、火のつけ方ひとつにとったって、これが本当にHOWの塊なんですよ。

まずはマッチやライターで火付けのための紙や葉っぱに火をつけて、それを干草や小枝に移していき、だんだんと火力の強い太い薪や炭に着火していくこの段取りが大事。風向きや空気の通り道、薪の置き方なんかもとても大事。火の具合を見ながら、それを調節していく工夫も大事。

人間が集まっていると、こうした火付け一つ一つのやり方も多種多様で、ああでもないこうでもないと談話が始まる。

談話の「談」の字のなかに火がふたつもあるのは、こうした人間の特性を良くあらわしていると思います。火と人が集まり、人々は語り合う。それがコミュニケーションの原型だったのでしょう。

そんな中で、火をつけたこともない人が、スイッチひとつでいつでも火を沸かしていた人が、人々の談話に入れるか何を語れるのかと、そんな余計な心配かもしれないけども、やっぱり現代人に投げかけてみたくなってしまうんですよね。

あと、大変なことはちょっと見方を変えれば楽しいんです。この「楽しさ」は人生の豊かさの重要な要素なんじゃないかな。

火種が消えないようにフーフーしたり、薪を集めたり、子どもたちは本当に楽しそうにやります。そして、大人たちも子どもに返ってしまうことが。

 

とにかく、大変なことかもしれない、面倒くさいことかもしれないことかもしれない、そんなさまざまな事柄が、洋介さんが語るこの本の中ではたまらなく楽しいことに思えてくるから不思議なんです。

田んぼの、薪ストーブの、栗の実の、井戸水の・・・そんな些細な生活のそこかしこに「楽しい」があふれている生活。

僕も生活をもっともっと楽しまなくてはと、冊子を読んでいてはっと思わされたり。

まあたくさんの人にこの冊子を読んでもらいたいなと思ったしだいです。この本は、星空の小さな図書館と星空スペースにおいてあるんで、興味がある人はぜひ手にとって読んでみてくださいね。