毎度どーも、星空スペース店長です。
毎年、この時期はいろいろなことが重なることが多くて、最近は本当に大忙しです。ブログに書きたいこともたくさんあるんですけどね。ブログを楽しみにしてくれている人には申し訳なく思っています。いや、そんな人いたらって話ですが(笑)。
さて、僕は昔コンサルタントをやっていた時代の癖で、統計やデータを見るのが大好きなんです。
そして、自分で独立して事業するようになってからは、マーケティングというジャンルの重要性に気づいて、勉強を続けています。
今日はそんな観点から、まちづくりを考えたときに大事だと思われるまちの人口の偏り具合を調べるマーケティング的な話をしてみたいと思っています。
前から思っていたんですが、地域ビジネスやまちづくりって文脈でものごとを考えるときに、最小単位は市町村という自治体単位で考えると大きすぎることが多いんです。
なんらかのビジネスを新しく始めようと思ったときに、ビジネス対象となるエリアでどのくらいのお客さんが見込めるか、エリアマーケティングを行うことは極めて重要です。「商圏」をどの範囲に見込んで勝負を行うか、それによってビジネスのやり方もだいぶ変わってきます。
例えば、いすみ市内も3町が合併してできた町ですから、広大な市域を持ちます。市内を端から端まで移動しようとすると、車でも30分以上かかるんです。
30分以上かかるとなると、なかなかお客さんの方もおいそれと簡単に来れる距離ではなくなります。したがって、お客さんの見込み具合や来店頻度にも大きく影響します。
こうしたマーケティング的な戦略のために、市内の人口のかたより具合を把握しておくことが重要になります。
ただ、自治体単位の人口であれば容易に把握できるものの、特定の自治体の人口の偏り具合を調べるのはなかなか骨がいる作業です。もちろん、自治体に問い合わせて時間と労力をかければ、部落単位でも人口を把握することだってできますけど、膨大な手間と労力がかかります。
なにかもっと気軽に調べられる方法はないかなと思っていたところ、選挙のデータが利用できそうなことに気づいたのです。
選挙のデータは今ではほとんどどこの自治体でもホームページで公表されるようになっています。ちなみにいすみ市内で実施される選挙について、有権者がどのくらいいるのかはこちらのページに公表されています。
これ、市内の有権者(18歳以上の成人人口)がどの地域にどのくらいいるのか、ちょうどいい地域ブロック単位で把握できるので、良いデータだと思っています。
直近で行われた選挙(市議会議員選挙・県議会議員選挙)の結果について、数字を抽出して表にしてみました。
ちなみにこの投票所の単位が、小学校の学区単位とほぼ対照していることが大きなポイントなんです。
地方のまちづくりの商圏を調べる場合、小学校がどこにあるかを調べるのは極めて重要です。
なぜならば、明治時代に村レベルで結束していた時代に小学校の校区範囲が決められたことが地方では多かったため、自治体内における地域勢力を見る単位に対応していることが多いのですね。いまでも、お祭りや地域行事もほぼこの小学校の校区単位で行われることなどが地域では多いです。
上記の投票所がいすみ市の地区名とどのように対象しているかはこちらの図をどうぞ。
そして、いすみ市全域を一覧できるマップとしてちょうど良さそうなのが、こちらのいすみ市内を走るバスの運行マップ。
ひとまずこれに、先ほどの選挙区の範囲をマッピングしてみました。(「だいたい」なので、カバー仕切れていない部分はご勘弁を)
ほい、こんな感じです。いすみ市内もずいぶんたくさんのブロックに分かれることがわかれますね。
そして、いすみ市内に住んでみるとわかるんですが、だいたい今の時代であっても、この地域区分が生活の範囲でも根強く生きているのです。
さて、それでは先ほどの有権者(18歳以上の成人)がどのように人口分布をしているのか、地図にマッピングしてみましょう。
赤い人の形をしているのが、100人の有権者をあらわします。
こうしてみると、いすみ市内もブロックごとに人口比率がずいぶん異なることがよくわかると思います。
ちなみに、星空の家がある千町地区は約1600人。星空スペースのある中川地区は約1500人と、いすみ市内でも最も過疎が進行している地域のひとつであることがわかります。もっとも多い大原地区にくらべて区域も圧倒的に広いわけですから、人口密度にあらわすと圧倒的な差になってしまうことがわかりますね。
一般的に、ビジネスの立ち上げを考える際に、対象エリアで人口が多い地域のほうが良いと考えるのが普通でしょう。
そうなると、過疎の中川地区や千町地区でビジネスをやるよりも、人口の多い大原地区や太東地区でビジネスをはじめるほうが成功確率が高くなると考えるのが普通のマーケティング戦略です。実際、商店の数も圧倒的にそちらのほうが多い現状があります。
ですから、過疎の地区でビジネスをやるためには、
・近場の人たちの圧倒的な支持を得ること
・遠方からでもお客さんが来てくれるようにすること
・少ないお客さんでも高単価のものが売れたり、高利益を出せるようにすること
などの工夫が必要になります。人口が少ない分、そうした工夫でなんとか難局を乗り切ろうとするわけですね。こうした工夫も実はビジネス成功のポイントになったりするので、人口が少ないだけで悲観することはないのです。
まあでもしかし、マーケティング戦略をたてることは、ビジネスを成功に導くためのはじめの一歩になります。ですので、最低限として、お客さんの見込み数を把握するためにも、対象地区の人口データを見るくらいはしたほうが良いでしょうね。そういう意味で、この選挙データの活用が効率的かもしれませんので、試してみて下さい。
余談になりますが、いすみ市市議会議員の住所は市役所ホームページの議員名簿で公表されています。
これらの住所をさっきの人口分布マップにポイントしてみました。
見ればわかるとおり、現在のいすみ市では人口が多く偏在しているところから、議員も選出されていることが見て取れますね。
ちなみにこういったときに社会学や統計学の世界では「統計的に有意である」と言います。「いろいろな理由が考えられる中で、統計的に見ると偶然ではないように思われる」という確からしさを言いたいときに使う言葉です。知っておくともしかしたら何かの役に立つかもしれません。
このように、人口の偏在っぷりを把握していくと、地域内のいろいろな勢力図も理解することができるようになります。
マーケティングの考えを取り入れると、たとえば選挙であっても、さまざまな戦略を立てる基礎情報を得ることができますよ。ほかにもマーケティングの考えを知っておくと人生のいろいろな場面で役に立ちます。ぜひ皆さんもいろいろデータを調べてみてくださいね。