星空スペース

蔵の中のワンダーランドⅡ〜「嶺田楓江と薫陶学舎」@いすみ市郷土資料館


毎度どーも、星空スペース店長です。

僕の大好きなボブ・ディランが「The Times They Are A-Changin’」という歌を歌ったのは1964年のこと。

それから50年以上経っているわけですが、この曲はまだまだ歌い続けなくてはいけませんね。

(ちなみに、ボブ・ディランは現在77歳とのこと)

肝心なのはきっとあきらめないこと、そしてロックし続けること。

歌詞と僕の適当な意訳を載せておきます。

Come gather ‘round people
Wherever you roam
And admit that the waters
Around you have grown
And accept it that soon
You’ll be drenched to the bone.
If your time to you
Is worth savin’
Then you better start swimmin’
Or you’ll sink like a stone
For the times they are a-changin’.

そこゆく往来のみなみな様、ちょっと集まって聞いてくださいよ
あなたたちの周りで少しずつ水かさが増しているのを
いい加減認めたほうがいいですよ
まもなく骨まで水に浸かってしまいますって
もしあなたの大事な時間を守る価値があるなら、
さっさと泳ぎ始めることをお勧めしますよ
じゃなければ、川の石みたいに沈むだけですけどね
そうこうしているうちにも、時代は変わっていっているんですから

Come writers and critics
Who prophesize with your pen
And keep your eyes wide
The chance won’t come again
And don’t speak too soon
For the wheel’s still in spin
And there’s no tellin’ who
That it’s namin’.
For the loser now
Will be later to win
For the times they are a-changin’.

あんたらのペンで時代を予言すると言っている
ライターや批評家のみなさまよ
一度目をぐっと大きく開けてみてくださいよ
過ぎてしまったチャンスはもう来ないもんです
まだまだルーレットは周り続けている間は
あせって結論付けるのは禁物ですぜ
それに、誰が勝つか予言するってもんでもない
今の敗者だって、将来の勝者かもしれないですしね
そうこうしているうちにも、時代は変わっていっているんですから

Come senators, congressmen
Please heed the call
Don’t stand in the doorway
Don’t block up the hall
For he that gets hurt
Will be he who has stalled
There’s a battle outside
And it is ragin’.
It’ll soon shake your windows
And rattle your walls
For the times they are a-changin’.

議員のみなさま、偉い人たち
心にとめておいてくださいよ
ドアの側に立ったりしないでくださいな
また議会から締め出すなんてのもなしですぜ
けがするのはいつだって止めようとする側ですよ
外では騒ぎがあり、しかもそれが大騒ぎになろうとしている
すぐにそいつらが窓をたたいたり、壁をドンドンやったりしはじめます
そうこうしているうちにも、時代は変わっていっているんですから

Come mothers and fathers
Throughout the land
And don’t criticize
What you can’t understand
Your sons and your daughters
Are beyond your command
Your old road is
Rapidly agin’.
Please get out of the new one
If you can’t lend your hand
For the times they are a-changin’.

世のお母様、お父様がた、まあきいてください
いまここでおきていることが理解できなくても
文句ばっかり言わないでほしいのです
あんたらの息子さんも娘さんも命令に従わなくなっている
でも、今までの古いやりかたも急速に通用しなくなってきてるんです
もし手を貸すことができなかったとしても、
新しいものから手を引いてもいいんです
そうこうしているうちにも、時代は変わっていっているんですから

The line it is drawn
The curse it is cast
The slow one now
Will later be fast
As the present now
Will later be past
The order is
Rapidly fadin’.
And the first one now
Will later be last
For the times they are a-changin’.

成功のための線が引かれ、コースが決められてても
いまはのんびりしているやつが、案外ビューンといくかもしれない
今ある”現実”が、将来は”過去”の遺物になってしまうかもしれないしね
”世間様”なんてものがどんどん薄れてしまっているんです
いま一番になっているものが、将来はビリになっているかもしれませんよ

そうこうしているうちにも、時代は変わっているんですから

ソングライター: Bob Dylan
時代は変る 歌詞 © Sony/ATV Music Publishing LLC, Audiam, Inc

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さて、茂原市の千葉 順一様からお誘いを受けて、こちらの展示会に行ってきました。

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実は、僕が房総の歴史を調べ歩いていることを耳にした千葉さんのご厚意で、千葉さんの家の蔵の文書を一度見学させてもらっているんです。

千葉さんのお宅は、由緒ある歴史のある家で、しかも明治維新期以降の歴史を考える上でとても重要な役割を果たした家を守られています。

その蔵には、ずらりと貴重な文書の数々。値段がつく類のものではありませんが、千葉県の歴史を紡いでいく上で残していかなくてはならないすばらしい歴史が眠っていました。

そんな歴史的収蔵品の中から、明治期の教育にテーマを当てたものを集めたコレクションを展示したのが、今回のいすみ市郷土資料館(通称「田園の美術館」)で開催されている

蔵の中のワンダーランドⅡ〜「嶺田楓江と薫陶学舎」

という展示会になります。

許可を得て、展示物の写真を取らせてもらいました。

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今回の展示会は、教育がテーマ。ちょっとマニアックなジャンルで、必然的に文字が多くなってしまうんですが、これも大切な歴史なんです。

上は、いわゆる四書五経とよばれる教科書ですね。ちなみに論語。明治期の人たちの必須教養はまず第一に漢文と算数、そして英語でした。漢文は最近の学校教育ではほとんど学ぶ時間がなくなってしまったんですが、もちろんほかにも学ぶことは大いにしても、惜しいことだと僕は考えています。概念的な思考を行う際に、漢文というプロトコルは本当に役に立つんですけどね。しかし、昔の英才たちは論語くらいであれば諳んじられたというんですから、当時の学習熱がいかに高かったのかと思わされます。

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そして、今回の展示会のお目当てはこちらの「薫陶学舎(くんとうがくしゃ)」のことを調査しにきたからでした。

まず、みなさんに知っておいてほしいことは、今のように日本全国で画一的な教育システムというのはまだ明治の草創期にはなくて、各地域が思い思いの教育を子女に施していたんです。当然ながら、学校に通えず、働き手として大人たちと一緒に作業し、読み書きそろばんができないという子どもたちも当時はたくさんいました。

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これは渡辺崋山が描いた寺子屋の様子を表す有名な図。千葉市から取り寄せて、今回の展示会に展示してありました。こういう寺子屋の風景は江戸時代からあったんですが、あくまで自主教育だったことに注意が必要です。

 

ちなみにこんなことを書くとびっくりされるんですが、明治期には小学校一揆(反対運動)というものが日本各地で発生するんです。

これは、政府がこれからは学校教育が重要と考え、すくなくとも4年から6年間、子供たちを小学校に通わせる国民義務教育制度をはじめようとするんですが、小学校の創設にかかる経済的な負担と子どもという貴重な労働力を取られると考えた村の大人たちが、小学校をつくること自体に反対の声を上げて決起し、争議を起こした事件でした。義務教育も今となっては当たり前ですが、当時の大人たちにしてみれば「とんでもない!」ことだったんです。

で、そんな中なのですが、日本に先駆けて先進的な教育をやろうとした人々が実は千葉県の外房地域にいたんですよ。もしかしたら、日本でも教育的に一番アツい地域だったのが、ここ千葉県だったのかもしれないんです。

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その中心的な役割を果たすのが、この薫陶学舎と嶺田 楓江(みねだ ふうこう)という人物なのでした。この薫陶学舎から派生して発生したといっても過言ではない千葉県の「自由教育」を僕は少しずつ調査研究しているんです。

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入学金を納めた者のリストが残っていたことから、当時の学生さんたちの出身がわかります。

夷隅郡市はもちろんのこと、長生郡や県外からも通っている人がいることは驚きでした。

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僕は「書」という芸術は残念ながらよく解さないのですが、それでもこの嶺田 楓江の字体から伝わってくる静かな闘気といいますか、文字から滲み出てくる壮年のやる気に感動してしまいました。

 

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ちなみに、この展示会のさらに特別ブースで何気にものすごい貴重だと感じたのがこちらのマップ。

明治前・明治後の夷隅地域における寺子屋・私塾がマッピングされているんです。これはすごい労力がかかったと思うんです。大変貴重な史料。個人的にもありがたいと思いました。

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とまあ、こうした明治時代草創期の教育を俯瞰できるすばらしい展示会が、いすみ郷土資料館で開催されているんです。

もしご興味のある方は是非ごらんになってみてください。