毎度どーも、星空スペース店長です。
ちなみに初っ端からご注意なんですが、ただでさえマニアックと言われる当ブログでございますが、今日は輪をかけてマニアックな内容となっています。
でも、個人的に超超超ぉおおおおお~うれしいことがあったんで、ぜひ共有させてください。
え~~刮目せよ!
【刮目】:目をこすってよく見ること。注意して見ること。
どこから話をすればいいのやら迷う話なんですが、とりあえず市町村合併の話からしてみることにしましょう。
今の星空スペースや星空の家がございます千葉県いすみ市。
このいすみ市は2005年(平成17年)に、夷隅町、岬町、大原町という3つの町が合併してできた市なんです。
ちなみに、星空スペースも星空の家も、旧夷隅町の町域に属する地帯にあります。
3町が合併してできた市ですから、いすみ市は千葉県の中でも大きな市に入ります。しかも、旧の夷隅町、岬町、大原町はそれぞれかなり個性と特性を持った市で、まるで三国志の魏・呉・蜀がくっついたような感じなんです(別に戦争しているわけではありませんが)。
当然ながら、地元の方々はまだまだ旧の町単位の考え方が根強く残っています。
特にそれが顕著に出るのが地名なのです。
そして、移住者がこれで超困るんです!
地元の人々が当たり前に話す地名が、わからない!本当にわからないんです!
地元の方々にとって当たり前すぎて説明不要という感じなのですが、移住者には見えない境界線、地図があるみたいで、本当に混乱するんです。
そして、その最たる存在が、旧大原(おおはら)町!「不思議発見!」に出てもおかしくないレベルのミステリーゾーン!それが大原町。
最近は、ありがたいことにいすみ市内のいろいろな人たちと仕事でもご一緒する機会が増えまして、旧大原町の方々ともお話することがとても増えました。
で、自然と、「どのあたりにお住まいなんですか?」って聞いたりするんですが、まあたとえばの話、地元の人がこんな風に答えてくれるんです。
「こさぶのほうですよ」
KO・SA・BU?
KO・SA・BU?
もうね、漢字すらイメージつかなくて、コサブって名前の大工すら脳内に浮かんでくる状態なわけですよ。
「小佐部」って書くんですけどね。
もう小佐部といえば分かるって感じなので、それ以上聞くことができずに、家に帰って「小佐部」ってどこなのか、調べるわけです。
で、載ってない!ハイ、うそではなく載ってないんです。載ってないんだああああああ!
小佐部ってどこやねん!
住所なの?地名なの?なんで地図に載ってないの?
そう小佐部に限らず、旧大原町の地名って地図に載ってないことが多いんです。しかも、いすみ市のガイドマップにすら載ってないんですよ。
さてさて、ここからは、ある程度の都市部に生まれ育った人にはわからない、昔の地名の話をちょっとしましょう。
「字」と書いて「あざ」と読みます。
イメージとして、集落・部落がもっともイメージしやすい言葉かな、家が何軒か集まっているとして、そこを呼び習わすのに「あざ」って単位を使います。
そして、字は多くの場合、同一性を感じられる字同士で集まって、大字(おおあざ)を構成します。ドラクエとかの「村」を思い浮かべるとちょうどいいかと。感覚的に、あのくらいの大きさの村に該当するのがこの大字です。
そうすると、大字と区別するために、小さいほうの字を小字(こあざ)と言ったりします。
で、ほとんどの場合が、川や谷などの地理的な要因によって、「村」というくくりで、大字の集合体が語られます。大字ひとつで「村」になることもよくありますし、もしくはいくつかの大字の集合体で村になることもあります。
江戸時代までのほとんどの田舎はこの「大字」か「村」を地域行政の単位としていました。この日本の昔からの地理的なくくりをここでは「行政区」ということにしましょう。
で、江戸時代が終わり明治時代になって、郵便制度というのが始まります。日本全国の地域に郵便番号が割り当てられ、住所の書き方も統一されるように段階的に整備されていきました。
今の日本では、住所の書き方は
郵便番号 123-4567
○●県/○●市/大字○●丁目/○●番/○●号
といった具合に、県→市町村→大字(何丁目)→何番地→何号と降りていくようにしたんですね。
だからこそ、都市部にいる人たちは、この郵便制度のやり方に慣れきってしまっているせいで、地図と郵便の番地システムが整合していると脳内でどうしても勝手にイメージしてしまうんですね。かくいう僕もそうでした。
さて、では話を元に戻して、大原町の地名が複雑になってしまった事情を見てみましょう。
まず、大原町にも小さな字、小字が昔にたくさん発生しました。
大原の歴史を総覧した史書「大原史通史編」に、大原の小字が載っていましたので、一部アップしてみましょう
こんな感じで、すんごいたくさんあります。
では、今度は大原の郵便的な住所を見てみたいと思います。これには、最適なサンプルとして、大原町の防災マップに載っている住所の一覧をアップしてみましょう。
はい、どーん。ここに載っている住所は、みんな旧大原町に属する地域なんですが、住所のほとんどが「大原+番地」なのわかりますか?しかもいったい何番まであるねん?というくらいの番地数。僕もいくつまであるのか知りませんが、大原の番地は1万を超えます。なんでそんなにまとめっちゃったんでしょう大原?
ということで、郵便システム上の地図で見ると、いすみ市大原という大字の地区は文字通り「大原」でまとめられてしまっているんです。「大原」だけではなく、これは他の旧大原町の地区名でも一緒です。
そうすると、どうしても地域行政単位としては大きすぎるんですね。地域行政単位っていうのは、たとえば地区の集会をやったり、お祭りをやったり、市役所から来る伝達文書を渡したりする単位のことです。
で、大原の人たちがどうしているかというと、はるか昔から受け継いできている地名を併用しているんです。
これがよく分かる資料として、選挙の際の投票所の一覧資料を見てみてください。
上の図の赤で囲っているエリアが、旧大原町の町域に属していた地名になります。
そして、これらの地名が、いすみ市の地図とリンクしていない地区名が多いのです。
たとえば、「渋田投票区」という地区には「渋田、新場、田町、城山、根方、坂東」という場所が記載されていますが、この所在地が出ている地図って本当にないんです。でも大原の地元の人たちはこの地名を使うんですよ。
試みに、いすみ市の地形とも詳細にリンクしているいすみ市が作成したハザードマップを見てみてください。
大きな大きな字である大原、渋田、東海、東、布施、浪花っていうのは大体の位置関係がつかめんですけどね、その先にある大字と小字の中間にある「行政区」が分からないんです。そして、その行政区の単位を大原町の地元の人たちは一番よく使うんですよ。
なんとか、この行政区の場所・位置関係が簡易につかめる地図はないのか、僕はずっと探していました。あ、ゼンリンの地図とか詳細な地図は別ですよ。あんなミクロなものではなく、ざっと俯瞰できるような地図がほしかったのです。
そして、そして、それをついに発見したんですよ!もうね、アイスソードを手に入れたガラハドくらいうれしかった。
それがこちらの本「大原町史(通史編)」
いや、こちらの画像をみてくだされい
ほぼ、マグカップの高さと同じ厚さのこの本。
この本の1220ページにそれはあったのです。
やったああああああああああああ!見つけた!
さて、ここできっと同じような悩みに頭を痛ませバファリンを消費している方々のために、旧大原町の行政区が乗っている地図を公開しちゃいましょう!
画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。
これですよ!これこれ!
これを僕はずっと探していたんです!ついに見つけたよ母さん!
もちろん、詳細な地形や道路が載っているわけではないんで、大体の位置関係から場所を類推するしかないんですが、それでもこの地図があるだけで、旧大原町の地名の位置関係を大体掌握することができます。
あ~すっきり!
できれば、これに対応したいすみ市のマップを作ってもらえるとありがたいなあ。
どなたかどうぞよろしくお願いします。