星空スペース

ICHIHARA ARTxMIX 廃校を活用したアート活動の可能性


毎度どーも、星空スペース店長です。

先日書き上げた大原の地名に関する記事はいろいろと反響を頂いて面白かったです。

ブログを書いていると、たくさんの人からさまざまなことを教えてもらえたり、ご意見・ご感想をいただけるのでいいですね。

上記の旧大原町の地名に関して、睦沢町のsouさんからこんなサイトを教えてもらいました。(ありがとうございます)

今昔マップon the web

この地図で、旧大原町の地名を確認することができます。しかもいろいろと時代をさかのぼって地図を見れるので、いすみ市がどのように変遷していったのかも理解することができてとても楽しいです。ぜひ、地図好きな人はご覧になってみてくださいね。

 

さて、今開催中のICHIHAWA ART x MIXに行ってきたので、そのことを記事に書いてみましょう

ichihara

失礼ながら、始まった当初はよくある系の一発屋的なアートイベントかと思われた市原アートミクス、なんだかんだで今回で3回目を数えます。

しかも実際に行ってみたら、小さな芸術的運動の萌芽を見つけることができて、なかなか興味深いことになっていたのでした。

前提として、いま日本全国で廃校になってしまった学校施設をどうするかという動きがあることを理解しておかなくてはいけません。廃校を取転売したり払い下げたりすることもある一方、地元の方々や移住者が廃校を利活用するケースも見受けられます。

市原アートミクスは「アート」という観点から廃校をなんとかしようという市原市の人々の活動なのでした。

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まず最初にいったのが、こちらの内田未来楽校

ここは昭和三年に立てられた学校跡地。昭和40年に廃校後、メーカー企業の工場になったのですが、そのメーカーも撤退し、平成24年に売りに出されることになったそうです。そこへ、地元の有志で集まった「報徳の会」の皆さんがこの学び舎を残すために立ち上がり、5ヵ年計画でここを買収するべく活動されているとのことでした。

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なかなか雰囲気の素敵なところでした。

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特に、校舎中央にすえられているこちらの樹のオブジェは素敵でしたね。巨大な蔓の樹の湾曲した枝ぶりをたくみに配置して、それをデコレーションしていました。

よくよく見ていると、これはなかなかすごいアート作品だと感心が沸いてきましたね。

校舎の保存している報徳の会のみなさんがまた熱心で、僕もいろいろと質問させて頂いたのですが、非常に丁寧にじっくりとお答えを頂きました。

ちなみにここで食べたちくわパンというのが美味しかったので、付記しておきましょう。

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さて、続いて行ったのがこちらの旧里見小学校でした。典型的な昭和の小学校建築で、クラフトマルシェやアートの展示が行われていました。

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体育館をブースにわけて、ワークショップがいくつか開催されていました。たぶん出展者のほとんどが地元か近隣の方々中心だったんじゃないかな。

写真では少しさびしい感じですが、集まっている人々はそれなりに楽しそうにあれこれ教えたり、教わったりしていました。

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廃校には必ずといっていいほど、こうしたモニュメントがあります。

「母校を忘るな」かあ・・・

と、文字面を読んで、しばらくなんともいえない気持ちになりましたね。

 

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最後に行ったのが、こちらの旧月出(つきいで)小学校を活用した「月出工舎」。

こちらは、完全に工房としてのスタイルを確立しつつあるタイプの廃校活用利用でした。

ちなみにこの月出工舎は岩間 賢さんというアートディレクターがマネジメントされています。

僕も始めていったんですが、この月出工舎の元になっている旧月出小学校の、ちょうどよいコンパクトさに感心してしまいました。ここなら、たしかに「いろいろできるかも」と思わせる雰囲気のよさがありました。

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ちなみにこの日特別に食堂で販売されていた手打ちうどんも美味しゅうございましたので、記録しておきます。

 

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廃校活用ではありませんが、市原アートミクスと連動して、高滝湖というダム湖のほとりにある「市原湖畔美術館」では特別展が開催されています。

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それがこちらの「ジョゼ・デ・ギマランイス展」。

アフリカンアート/現代アートの世界に興味がある人にはお勧めです。

 

全部は紹介しきれませんでしたが、このように市原アートミックスでは、同時多発的にイベントを開催させ、イベント参加者に会場を回らせ、アートとツーリズムの両方を同時並行で楽しめる仕掛けづくりをやっていました。

廃校を活用するというのはいろいろなやり方・局面があって良いと僕は思っています。

ツーリズムと結びつけて考えるときに、アートという切り口はやはり研究されてしかるべきでしょう。人寄せという意味でもアートの持つ力、魔力は馬鹿にできません。

しかも、そこにこれからの時代のアートの「果たすべき役割」のひとつが隠されているようにも思うのです。

しかし、一方で廃校になった校舎は放置しておくにも金のかかるものになります。ましてや、イベントだけで運営・経営していくのは非常に難儀なものでしょう。

アートイベントと廃校活用、このふたつをどのように結びつけ、しかも地域を元気にするためにどのように続けていくのか、そうした仕組みづくりとアイデアが成熟したときに、大きな果実が実るようにも思えます。

まだまだ僕も勉強と研究が必要だなあと思える良いきっかけになったのでした。

この一連のアートイベント、「市原アートミクス」は12月2日まで開催しています。ご興味のある人は、ぜひこの機会を逃さずに行ってみてください。

本を出版しました