星空スペース

いかにお金を稼げるかではなく、いかにお金を流せるかという戦い


毎度どーも、星空スペース店長です。

51600754_10215928275432988_9145928021251719168_n

そういえば、先日、お宮の掃除当番が星空スペースのある作田地区で回ってきたんです。

ご近所さんが、通行手形みたいな木の板を持ってこられまして、何だろう?と思ったんですが、それがお宮の掃除当番をあらわす木札だったのです。

そして、朝早くに起きて、同じ組になった地元の方々に教えてもらって、神社を掃き清めてきました。

星空スペースの裏側にも立派な神社があるんですが、そことはちがってこちらの神社(琴平様)は山の中にひっそりとたたずんでいる神社で、僕も今回はじめていったので、驚いたんです。まさか、こんな立派な神社が山の上にもあるとは。

朝早く掃除をして、逆に自分の心持も清められたような、新鮮な気分になりました。得がたい貴重な経験です。

 

さて、星空スペースは一応飲食業というくくりでビジネスをやっております。

で、ここから先の話は、いすみ市(人口3万7千人)と同じくらいかそれ以下のいわゆる過疎化が急激に進行しつつある田舎でビジネスをされている方にしか、実感を伴って伝わらない話かもしれないです。

これからの田舎のビジネスというのは、

いかに地域で稼ぐか

ではなく

いかに地域にお金を流せるか

が、ビジネスを続けていくために必要なことだなあと思っています。

 

まだまだほんの微々たる金額でしかありませんが、星空スペースは地元の生産農家さんや、食品加工業者さんたちから、食材を仕入れさせてもらっています。

当店の“売り”でももちろんあるのですが、星空スペースがお客さんから選んでもらっている理由として、地元の食材をちゃんと使って作っているというのが大きいと思っています。

料理というのは、食材で8割がた決まってしまう世界で、残りの2割はその8割をいかに活かすかという話でしかありません。

つまりは、食材こそが、その飲食店が続いていくための命運を握っているといっても過言ではありません。

お米やパン、野菜や肉、味噌や調味料、そういったものすべてに支えられて、なんとか店を続けられてこれているのです。

しかし、仮にお米農家が続けられなくなったら、野菜農家さんが亡くなられたら、調味料を作るノウハウが消えてしまったら、星空スペースでそれを代替できるわけはありませんし、ここからが重要ですが、それに代わる人も今の田舎にはほとんどいないのです

ここが、過疎化と人口減少の恐ろしいところです。

東京や横浜などの大都市でやっていれば、食材の大半は市場や卸業者から調達しますから、ある食材の生産業者がつぶれたところでダメージは非常に限定的でしょう。

しかし、田舎は違うのです。

もはや、米も野菜も、食材加工も本当にぎりぎりの人数でまわしている。これ以上、減り続けたら、本当にその食材自体が消滅するところまで近づいてきているのです。

食材が消滅すれば、お店も消滅します。市場から調達するようになれば、値段の競争に巻き込まれ、今までお店を贔屓にしてくれた人々も離れてしまい、お店の経営も成り立たなくなるでしょう。

ですから、そのためには、食材の供給先というか、共有先である農家さんや加工業者さんたちに、どんどんお金を回して、生活を成り立たせてもらい、後継者を育ててもらい、食材を作る意欲をより一層掻き立ててもらう必要があるのです。

そんなに切羽詰った状況なのか?きっと、都市部の人にはこの危機感は伝わらないと思います。

しかし、いすみと同規模かそれ以下の人口で何とか地域経済を支えようとしている人々にはきっと理解してもらえるはず。

もはや、稼ぐことは目的ではないのです。

地域にいかにお金を流すか、それがビジネスを続けていくための生命線に田舎ビジネスの潮流はすでになっています。

お金を流すには、仕組みがいります。

水と同じように、お金は置いておくだけでは流れることはありません。

集めて、傾けて、流れを作ってやらねば、うまく流れていかないのです。

それが、飲食店や観光業の仕事だと僕は思っています。

そして、きっとそうした流れを絶え間なく作り出すことができれば、いつかどこかで地域が復活しだすんじゃないかと希望が湧いてくる気がするんですよね。

米では食っていけない、農家は大変なだけで儲からない、跡継ぎがいない、戻りたくても地元に戻れない・・・

いろいろ1次産業については暗い話が多いんです。本当に、業者さんたちと話をしていても、いつもそんな話ばっかりになってしまうんです。

だから、それを変えるにはどうしたらよいのか、流れを引き戻すにはどうしたらいいのか、そのためには、稼ぐことはもちろん前提ですが、お金をいかに流すか、その量と質こそが今後の地域活性の命運を握ると思いながら、僕は営業しています。

本を出版しました