星空スペース

団体様と個人様

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本当、飲食店なんぞやっていますと、いらっしゃるお客様のおかげで成り立っているわけですから、いつも「おかげさまで」と最初につけてしまいますが。

おかげさまで、ここ最近の星空スペースは毎週のように、団体様のご利用を頂くようになっております。

先週なぞは、30名以上もの方にご利用いただいたのはご報告したとおりです。

 

星空スペースでは、団体のご利用も促進していきたいと思う反面、当然ながら個人のお客様にも快くご利用いただきたいのはやまやまなわけでございまして、この辺のさじ加減はなかなか難しいなあと、場所貸しビジネスとカフェビジネスの狭間で実際に営業してみて、そのことを感じている次第です。

 

飲食店営業における団体様の予約利用のメリットを整理しておきましょう。

【団体様の予約利用のメリット】

  1. まとまった金額の売り上げを見込むことができる。
  2. 事前に料理を予約してもらうと原価・収益管理がしやすい。
  3. 場所における利用の時間的効率性が高い。
  4. リピート率が高くなると、経営が安定する

1.はそのものずばり、大きな売上を得られるメリットですね。

そして、店舗営業で経営学的に重要なのは、2.と 3.です。

2.について。特に飲食業は水商売ですから、いつ来るのかわからないお客様を当てにして、仕入れと仕込みを行わなくてなりません。その点、事前に料理を予約してもらえると、仕入れや仕込みの効率は当然ながら格段にやりやすくなります。どのくらいの原価率でメニューをご提供するか、どのくらいの利益が見込めそうか、そういったことをしっかりと管理することは経営の基本といえるでしょう。

3.は回転率の話です。大概、団体様のご利用は時間の取り決めを行います。そのため、事前の段取りから片付けも含めて、スケジュールが立てやすいことがあげられます。飲食店の経営的成功を決めるポイントとして、「回転率」とはきわめて重要な指標ですから、時間を区切って店舗内のキャパシティーを最大に利用できるほうが当然ながら効率が高くなります。

4.は上記とは別の話で、リピート客の増加がもたらす経営的なメリットで、これは「掛け算」を思い描いてもらえるとわかりやすいと思います。たとえばの話、特定の団体様に毎月1回ご利用いただくことが実現できた場合、毎月いくらという売上が年間通じてある程度確定するわけですから、当然店舗経営は非常に楽になります。特定の団体顧客を持っている飲食店というのがなかなかつぶれないというのはこの辺の事情があります。

 

なかなかいいことづくめに見えますが、物事には陰陽ありまして、当然ながら団体様のご利用には経営的なデメリットもあります。こちらもさらっと整理してみましょう。

 

【団体様の予約利用のデメリット】

  1. 貸切などで場がクローズになってしまう場合には、当然ながら他のお客様が利用できず、個人客が離れるリスクをもたらしてしまう。
  2. 受け入れ準備のため、仕入れや仕込みにいつもの何倍もの負荷がかかるため、度重なってくると受け入れ側が疲弊する。
  3. 団体様を優先する意識が働くことによって、個人利用客を蔑ろ(ないがしろ)にしてしまい、結果未来のリピート客の減少をもたらす
  4. 団体の場合、どうしても個人個人のお客様への丁寧な対応レベルが低下するため、お客様の満足度・お店へのロイヤルティーが低下する。

1.もわかりやすいと思います。当然ながら、団体貸切の場合は、個人のお客様を締め出す結果になってしまいます。それがたびたび続けば、もうお店を利用してくれなくなってしまうでしょう。

また、2.も当然ですね。30名以上の人が来たイベントの次の日はさすがに疲労して私もかなりしんどいものでした。

そして、経営学的に恐ろしいリスクは3. 4. です。

団体様の予約利用というのは、店舗営業者にとっては売上の拡大につながり、とても魅力的に感じます。つまり、甘い甘ーい汁なわけです。これにはまってしまうと、個人のお客様を大切にしなくなることがよく散見されることは、誰しもご経験のあることではないかと思います。3.のように、個人のお客様を大切にしなくなることは、結果的に未来のリピート客の減少を招き、当然ながら未来の団体様の予約利用も減るわけです。

また、4. で言っているのは、団体利用のお客様の満足度の話で、人数が多くなればなるほど、お客様一人ひとりに掛けられる手間隙というのは当然ながら少なくなっていきます。本来的に、ひとりひとり、大切にご対応しなくてはならないはずなのに、待たせたり対応できなかったりするわけです。また、お客さんというのはお店の人とのコミュニケーション、会話のやり取りも楽しんでいるものです。それがなくなると、お店への愛着心は薄れ、また来ようという意識にはならないわけで、これもやはりリピート客の減少をもたらすわけですね。

 

上記のように、団体様の予約利用は大きな経済的成果をもたらす反面、将来的なことも考えるとそればかりを優先してはいけないことがわかると思います。

星空スペースも、団体様にもたくさん利用して欲しい反面、ひとりひとりのお客さんとのふれあいを大切にしたいという二律背反のもどかしい思いを感じつつ、そのバランスをどこで取るかで悩んでいます。

 

まあ、金の亡者になることも無く、調子にのらず、日々楽しんでやれるように、着々と営業することが大事ですね。

自分の中の鏡が曇らないように、日々精進したいと思うこのごろです。

(良)